2009年11月27日

tel pere tel fils

仕事の休憩中、Chefの弟さんのワインの造り手Alain Paretのワインカーブに遊びに行きました。
車で15分くらい、St pierre de Boeufへ。
シェフに「最近改装して綺麗になったから、いっぱい試飲させてもらって楽しんできなさい。」と送り出してもらいました。
ちょうど来客中でAlainさんが忙しかったので、同じ造り手の息子Anthonyに色々と案内してもらいつつ、試飲・お話を沢山聞くことが出来ました。
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去年の10月、お世話になっているワイン業者さん蓮見さんに連れてきて頂いた時とはガラッと変わり、
以前事務所だった所がテイスティングルームに変わっていました。凄く綺麗。
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カナダのコルクの木の表皮や、
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ワイン樽に使っていた蛇口(表現が乏しい・・)、
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Anthonyも「なんでだか分からないけど・・」と言っている昔のワインのラベルViognierの違うつづりの古いエチケットの表記、
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Viognier100%の【les Cep du Nébadon 2008】【viognier 2006】
桃や杏の香り・ドライフルーツの凝縮感もあります。
st-pierre de boeuf2 038.jpgst-pierre de boeuf2 040.jpg
次にsyrah100%の【Les larmes du père 2007】【Grand Val 2006】
saint-josephです。
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【Serinae 2004】はAnthonyのDOMAINE de SEYSSUEL。
サンジョセフの急斜面で太陽の陽を存分に浴びて育った糖度の高いぶどうこそが素晴らしいワインを造る最も大事なことだと話すAnthony。
収穫から冬の終わりまでアランとアントニーは休みもとらず、毎日醸造所に通い、醸造を行うそうです。
「ワインは生き物だからね。」と。
アラン・パレは元々エンジニアで彼が27歳のとき、私財を全て投じて畑を買い取り、設備を整えワインの生産を始めました。ローマ帝国の時代からワインのためにぶどうが栽培されていたこのサンジョセフではかつては素晴らしい区画と言われていたところが、その後栽培が行われなくなり長い間目もくれなくなった区画があります。
アランはここの土地も買い取り、木や草で覆われた斜面をすべて彼1人の手作業で開墾していきました。こんなアランの姿を見て地元の他の生産者たちは「あいつは頭が狂っている」「野うさぎと一緒にアランはのたれ死ぬ」「すぐに失敗するに決まっている」などと嘲笑・揶揄されたそうです。
しかしアランはそんの周りの声にも一切気にすることなく、自分の信念・技術を貫いて今ではサンジョセフの星と評価され、フランス・ヨーロッパで高い名声を得るまでになったのです。
彼が一貫して語ることは、自然本来の力、それはぶどうの性質・天候・テロワール、をいかに引き出してワインを造るか、ということです。
そのためには化学肥料や除草剤を使用しないで有機栽培で行うのは当然のことであり、それらを強調することは間違ってると言います。
ワインという人の口に入るもの、そして何より素晴らしいワインを造るためには、どんなことも彼は厭いません。
(蓮見ワインさんのParetさんの紹介文)

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「いいワインを造るためには大きくなってはならない。」
想像を絶するような時間・苦労・心配をかけてワイン造り、しかしそれはいいワインを造るためには当たり前のことだと。
シェフも「毎日調理場に立っているのが一番幸せだ。」とよく言います。
Paret家はそれぞれ自分の仕事に誇りを持っていて、本当に心から良いものを作りたいと強い志があり、
決して今流行りのアーチスティックな料理ではないのだけれど、
心がこもったほっとする料理、ストレスのない作品を作り出していて、私の憧れとする生き方、尊敬する方々です。
【les larmes du père】syrah100%のワイン。
「お父さんの涙」というワインの名前に疑問を持った私。
シェフが小さい頃、お父様はワイン生産者から樽を買い、それを用いてブレンドし、さらに樽熟成・瓶熟成をさせてから販売をするネゴシアン(ワイン商)でした。
《良く耳にするドメーヌ(Domaine)とは、本来は領地、所有という意味ですが、ブドウ畑の所有者が、栽培から醸造、瓶詰めまで作業を一貫して行っていることを表しています》
瓶詰めしたワインのコルク栓をしたり、糊でエチケット(ラベル)を貼る作業は
chefとAlainの担当だったそうです。
chefは16歳から調理の道へ、Alainはエンジニアだったのですが意を決して前文のようにワインの畑を開拓し、
初めてできたワインがこのワイン。
ワインの名前の付け方に迷い、家族会議で話し合った結果、
「お父さんが生きていたらきっと涙を流して喜んでくれるだろう。」
と。
ぽろぽろと涙が出て、大好きな家族を思い出したりして。
心に響くお話。
chefは「綺麗な話だけど、その時Alainはどろどろに汚れていたんだから!!ハッハッハッ!
僕はお酒が一滴も飲めないけど、本当にいいワインだと思ったよ。身内だからかな?」
chefはお酒が強くないのでいつもご飯食べに行く時は私につきあってSuzuを一杯。私はワインを3杯・・。
でもワインに興味がある私にいろんなチャンスをくださいます。
今回もそう。ありがたいですね。
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初めて飲んだAlainの甘口ワイン。最高においしかった。
【Sortilege d’Automne 2006】
すっかりparet家の大ファン(前からだけど)のなった私。
格好よいAnthonyに頼んで写真一緒にとってもらっちゃいました!!
赤い顔した私・・。試飲と言いながら結構飲んじゃって、夜の営業、みんなに笑われちゃいました。
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2009年11月23日

On a bien mangé….

日曜日の営業後、皆で隣町まで夕食を食べに行きました。
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田舎町の小さなレストラン。
古くからあり、地元の方たちで盛り上がっている人気店。
牛のオブジェがたくさんあります。
玄関には等身大のウシ君!!
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サヴォア地方の料理がずらりと並びます。
chefとホテルのベットメイキングのSalangeは【racletteラクレット】をチョイス。
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シャルキュトリーと共に茹でたじゃがいもに溶かしたチーズをかけて食べるお料理。
ラクレットとはチーズ名でもあり、raclerラクレという“削り取る”という動詞も存在します。
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Kevin君と彼女は仲良く【fromage fonduチーズフォンデュ】。
卵まで入れて最後まで楽しんでいました。
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私とmarieは【tartifletteタルティフレット】
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サイコロ状に切ったジャガイモをベーコンと玉ねぎで炒め、その上にサヴォア産のチーズロブロッション(Roblochon)をたっぷりかけてオーブンへ。
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トローリ溶けたコクのあるチーズと素朴なじゃがいもの味が見事にマッチしていくらでもお腹にはいってしまう料理ですが、
前菜に山羊のチーズの乗った大きなサラダも食べたので、みんな動けなくなるほど。
翌朝までお腹いっぱいでした・・。

2009年11月19日

Beaujol’ympiades-Arriveé du Beaujolais Nouveau

Beaujolais Nouveauはお飲みになりましたか?
去年はバナナのフレーバーと言われ、今年は雨はちゃんと降ったけれども乾燥していたので
去年に比べ凝縮した風味で、フランボワーズやイチゴの香りがする、とこちらでは言われています。
日本では「ボジョレーなんて…。」ってちょっと格好つけていたけれども、初物ですし、
せっかく近くにいるので今年は楽しもうと思い,Lyonでカウントダウンのお祭りに行ってきました。
暗闇に浮き上がるワインの樽。
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近くのレストランで働いているお友達と、私と一緒に働いているLedoと待ち合わせして
午前零時を待ちます。
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ファンファーレやDJ ELECTRO,などと共にワインの栓が一斉に開きました。
凄い人の数です。人込みをかき分けながら2009 Beaujolais Nouveauを頂きました。
もちろん無料です。飲み過ぎの若者もちらほら…。
この日はアルジェリア対エジプトのサッカーの試合があり、アルジェリアの勝ち。
去年アルジェリアが負けた際、商店のガラスを割ったり、モニュメントを壊したりなど
暴動がおこったとのことで、町中に沢山の警察官がいました。
クラクション鳴らしたり、勝手に花火あげちゃったり・・。
勝っても負けてもどっちにしろ騒ぐ若者。
帰り道、喧嘩がおこっているから橋を渡れなかったりして、
同じ方向に行くフランス人のグループに回り道を教えてもらったりなどした 
ちょっと怖い帰り道でした・・。
次の日、ソムリエのクリストフが新聞持ってきました。
「美智子、日本ではボジョレーヌーボー温泉に入れるのか?」
と、箱根の温泉の写真が…。
なんかがっかり。
一生懸命作っているワインでなんでそんなことしちゃうんだろうって恥ずかしくもなりました。
ワイン畑で一生懸命手入れをされている造り手さんを思ったら、
そんな勿体ないこと出来ないのに…。
フランスでは日本がボジョレーヌーボーの一番の輸入国らしく、
「日本人はヌーボーが大好きなんでしょ?」と聞かれます。
ヌーボーに限らず、沢山のワインが手に入ることは確かですが、
温泉記事などで日本のワイン好きの変なとらえ方されているのは
ちょっと心外でもあります!!

2009年11月17日

le pâché mignon.

こちらに来て随分と料理の本を購入してしまいました。
本屋さんに行くたび、料理本コーナーで何時間も立ち読み・・。
随分厳選したはずなんですが、結果山積み状態。
新しい料理の組み合わせとか伝統料理、地方料理のレシピなど
興味をそそるものばかりで。
郵便局から送る荷物を整理しながら、本を読み返したりして全然進まない荷造り作業。小さな頃から同じ。
部屋の掃除をするたび古い雑誌とかに夢中になっちゃって全然作業が進まない子でした。
そんな中、本の中に香辛料専門店を発見。
先日友達に教えて貰ったお店と近いことが判明し、行ってきました。
BAHADOURIANPlace Djebrael Bahadourian 04.78.60.32.10
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色々な種類の香辛料、ヴィネガー、オイル・オリーブやドライフルーツ、ナッツ類の量り売り、コンフィチュールなどなど何でも揃います。
ここでもわくわくしちゃって2時間ほど滞在・・・。
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フォアグラをマリネする時に使うお塩やエピス、オレンジフラワーウォーターなどを購入。
また荷物が増えちゃいました・・。

(more…)

2009年11月5日

Il a le coeur sur la main.

雨が降り続いたり、朝は霧がすごかったりで冬がだんだん本格的になってきました。
今日はちょっとゆっくりした営業。
そんな日は厨房内で来年の私のお店について話し合います。
新しいお店の名前やメニュー作り、新しいアイデアなどを色々と相談。
皆真剣になっていろいろ意見を下さって有り難い限り。
そんな中デザートの話になり、Les liensでも人気だったリンゴのパイの話題に。
LyonでTarte lyonnaiseタルトリヨネーズとして売っているものとかなり似ていることが判明し、
(知らなかった・・。)
Chefは「よし、作ってみよう!!」ということになり、
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タルト生地にアプリコットジャムを薄く伸ばし(正確にはリンゴのコンポートを使用。)
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生の薄ーくスライスしたリンゴをきれいに並べていきます。
chefはつまみ食いしながら(笑)
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途中でカソナードをかけつつ、焼きあげます。綺麗にカラメリゼしているタルト。
「温かいうちが美味しいんだから」という理由で皆で平らげました。
なんだか懐かしい味がして、いろいろな楽しかった下北時代を思い出しました。

2009年11月2日

J’étais pompette…

日曜日は昼の営業で終了。
なので今日はlyonで友達と待ち合わせして遊びに行きました。
といっても、私の街は日曜日電車が3本しかないので優しいchefが近くの大きな駅まで車で送ってくださいました。
向かったのはLA HALLE TONY GARNIER
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LES VIGNERONS INDÉPENDANTS
約500のワイン醸造者が集まりワインの試飲会&販売をするEXPO。
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入口でテイスティンググラスが一人一脚プレゼントされます。
シャンパーニュ・アルザス・ブルゴーニュ・ボルドー・ロワールetc・・・。
少しずつでもかなり楽しんでしまいました。
大きなホール内で学校のクラスメイトにばったり会ったり、先生まで顔赤くして作り手さんと真剣に話しているのを発見したりして(笑)
この日はお友達の所に泊まらせてもらって、会場で買ったワインと共にゆっくりお話しできました。
私と一緒で調理人の子。凄く誠実で、前向きで、料理を作ることが大好きな方で、
なんだかその子とで会えたことが嬉しくて、
凄く良いエネルギーをもらった一日でした。Merci!!